治療について specialty

修正型電気けいれん療法

和田 貴志精神科 / 心療内科
【所属学会・資格・専門領域等】
  • 精神科専門医
  • 精神保健指定医
  • 麻酔標榜医
  • 産業医
  • 修正型電気けいれん療法
  • 感情障害
  • 統合失調症
  • 認知症

治療法の紹介

修正型電気けいれん療法(mECT)とは

電気けいれん療法(Electro Convulsive Therapy)とは、古くから行われてきた治療法であり1930年代には行われていた記録があります。
全身麻酔薬と筋弛緩薬を使用して、身体的苦痛やけいれんによる影響を緩和したものが、「修正型(Modified)」電気けいれん療法(Modified Electro Convulsive Therapyを略してmECT)と呼ばれます。

留意点

安全性について

修正型電気けいれん療法の死亡例は5万回に1回程度とされています。可能な限り事前の検査で安全性の検討を行うことはもちろんのこと、必要に応じて他科の医師による診察を行うなど、最大限の配慮を行っています。

懸念される副作用
実施直後
骨折などの外傷や膀胱などの損傷
筋弛緩薬によりほぼ完全に回避できます。
血圧上昇・頻脈
殆ど全症例で現れ、3~5分ほどで消失します。予防的に薬物を投与し影響を最小限にします。
不整脈
まれに現れます。心電図をチェックしながら、薬や器機などで対応することもあります。こちらも予防の処置をします。
麻酔から覚めた後
物忘れ
最も多い副作用です。治療前後のことを忘れたり、新たなことをおぼえづらくなることがありますが、数時間から数日で回復します。永続的とネット等で書かれている健忘は麻酔薬の影響もあるものと考えられます。麻酔薬を工夫しパルス波治療器を用いることで以前と比較して大きく軽減しています。
頭痛・筋肉痛
頭痛は程度の差はあれ、殆どの方が訴えます。症状は軽いことが多く治療前に鎮痛剤を飲んでもらったり、術後も屯用の鎮痛剤を使用して対応しています。筋肉痛の発生率は頭痛に比べて低く、印象として1割以下だと思います。頭痛同様、程度は軽いので先述の治療で改善します。

治療の流れ

01
事前検査

患者さまの状態に応じて可能な範囲で血液検査、心電図検査、頭部CT、胸部レントゲンなどの検査を行います。
場合によっては当院内外の他科医師への受診をお願いすることがあります。

02
診察とご説明

担当の医師が患者さまを診察し、ご家族、場合によっては患者さまにも直接、治療の説明を行います。

03
絶食

固形分の摂食は治療前日の21時まで可能です。これが守れないと誤嚥性肺炎という合併症を起こすことがあるため、必要に応じて個室に入っていただく場合があります。こちらから指定した飲み物については直前から2時間程度前まで自由に飲んでいただけます。

04
点滴

手術当日の朝に点滴を行います。

05
麻酔

殆どの患者さまは治療室(手術室)に入室してすぐに麻酔薬で眠ってもらいます。

06
施術

眠っている間に治療の準備をした後に追加の麻酔薬と筋弛緩薬を投与します。その後前頭部より数秒間の電気を流し治療を行います。個人差はありますが、通電からけいれんまで長くて2分程度で治療は終了します。

07
診察とご説明

治療終了後、血圧や呼吸が落ち着いた時点で病室に戻ります。目が覚めるのは病室のベッドの上ということになります。

このような治療を週2回のペースで6回から12回を行って1クールとします。場合によってはメンテナンスと言って月に1回から2回治療して維持することがあります。