検査・治療について medicalreport TOPICS

レケンビ🄬



 

藤岡 裕士脳神経外科 / 神経内科
【所属学会・資格等】
  • 脳神経外科専門医
  • 脊椎脊髄外科専門医
  • 日本脊髄外科学会認定医
  • 日本定位・機能神経外科学会技術認定医
  • ボトックス,ゼオマイン施行医
  • バクロフェンポンプ施行医
和田 貴志精神科 / 心療内科
【所属学会・資格・専門領域等】
  • 精神科専門医
  • 精神保健指定医
  • 麻酔標榜医
  • 産業医
  • 修正型電気けいれん療法
  • 感情障害
  • 統合失調症
  • 認知症

 

 

アルツハイマー型認知症

 

アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー病とは、軽度認知障害(※1)や認知症(※2)の原因となる代表的な疾患で、初期にはもの忘れなどの記憶障害で気づかれることが多いですが、比較的若年の方の場合はもの忘れ以外の症状が目立つことも少なくありません。軽度認知障害や認知症の原因となる脳の病気はほかにもいろいろあり、また、からだの病気などでもよく似た症状がみられることがあります。さらに、認知症の進行や現れる症状はひとによって異なるので、的確な診断が必要です。 

アルツハイマー病では、脳にアミロイドβと呼ばれるタンパク質がたまったり、リン酸化タウというタンパク質が塊を作って神経原線維変化と呼ばれる病変ができたりします。これらの病変の影響で神経細胞が障害され脳が萎縮していきます。近年このアミロイドβを標的とした治療薬の開発が進んできています(レカネマブ(レケンビⓇ点滴静注)もそのひとつです)。

 

※1 記憶障害などの軽度の認知機能障害が認められますが、日常生活にはあまり支障を来さない程度であるため、認知症とは診断されない状態を言います。

※2 アルツハイマー病などの病気により、認知機能障害(記憶、見当識、言語、計算、理解などの機能の低下)が認められ、日常生活に支障を来した状態を言います。脳の病気だけでなく、さまざまなからだの病気でも、よく似た症状が出ることがありますので、気になるときは、医師や地域包括支援センターなどに相談しましょう。

【厚生労働省HPより: アルツハイマー病の新しい治療薬について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

軽度認知障害

 

軽度認知障害(MCI)とは?

軽度認知障害は「脳の機能が健常な状態」と「認知症」の中間の段階で、MCI(Mild Cognitive Impairment)とも呼ばれます。記憶や判断などを行う脳の機能(認知機能)がいくらか低下しているものの、自立した日常生活を過ごせる状態を指します。MCIの状態からさらに認知機能が低下し、日常生活に支障をきたし介護が必要な状態になると、認知症と診断されます。

しかし、必ずしもMCIの人が認知症に進むわけではありません。MCIの原因によっては現状が保たれたり、回復したりすることもあります。

 

 

【エーザイHPより軽度認知障害(MCI)について (eisai.jp) 

 

 

治療薬

 

アルツハイマー型認知症の最新の治療薬について(レケンビの情報掲載)

 

治療を受けるにあたって

対象となる疾患

  • アルツハイマー病に関連した軽度認知障害
  • 軽度のアルツハイマー病

治療方法

  • 注射薬で2週間に1度、約1時間かけて点滴で投与します

期待できる効果

  • 認知機能障害の悪化が抑制されます(進行のスピードを緩やかにします)

注意する点・考慮する点

  • 完全に病気を治す治療ではありません 
  • 副作用(頭痛やめまい)12割の人に認めると報告されています

 

投与条件

投与するためには以下の条件が必要です。

  1. アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症であること。
  2. MMSEは22点以上であること。CDR0.51.0が目安となります。
  3. 脳脊髄液検査またはアミロイドPET検査でアミロイドβ病理が確認できること。
  4. 薬物による有害事象が起こっていないことを確認できる介護者が同居、もしくは、常時確認できる環境にあること。

 

※投与の注意点としては、初回投与は入院し副反応を観察します。2回目以降は外来で点滴です。

※投与期間は2週間毎に行い、治療は1年6ヶ月続けます。

※薬剤費用は下記の図をご参照ください。

 

レケンビによる治療の自己負担額(月額の目安 2024年3月現在)

 

69歳以下の方 / 70歳以上で3割負担の方(下記表のア~ウの現役並み所得者に該当する方)

以下表のうち緑で色が塗られているところは高額療養費制度に該当します。

年収 / 体重 31kg~40kg 41kg~50kg 51kg~60kg 61kg~70kg 71kg~80kg 81kg~90kg
ア:1,160万円以上 55,780円 69,520円 83,250円 96,980円 110,720円 124,450円
イ:770万円以上~1,160万円未満 55,780円 69,520円 83,250円 96,980円 110,720円 124,450円
ウ:370万円以上~770万円未満 55,780円 69,520円 80,210円 80,660円 81,120円 81,580円
エ:~370万円未満 55,780円 57,600円 57,600円 57,600円 57,600円 57,600円
オ:住民税非課税者 35,400円 35,400円 35,400円 35,400円 35,400円 35,400円

 

 

70~74歳で2割負担の方

以下表のうち緑で色が塗られているところは高額療養費制度に該当します。

年収 / 体重 31kg~40kg 41kg~50kg 51kg~60kg 61kg~70kg 71kg~80kg 81kg~90kg
一般:156万円以上~370万円未満

18,000円

18,000円 18,000円 18,000円 18,000円 18,000円
住民税非課税世帯Ⅱ 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円
住民税非課税世帯Ⅰ 年金収入80万円以下等 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円

75歳以上で2割負担の方

以下表のうち緑で色が塗られているところは高額療養費制度に該当します。

年収 / 体重 31kg~40kg 41kg~50kg 51kg~60kg 61kg~70kg 71kg~80kg 81kg~90kg

一定以上所得:課税所得28万円以上

年金収入+その他合計所得金額が単身約200万円以上、複数320万円以上

18,000円

18,000円 18,000円 18,000円 18,000円 18,000円

 

 

75歳以上で1割負担の方

以下表のうち緑で色が塗られているところは高額療養費制度に該当します。

年収 / 体重 31kg~40kg 41kg~50kg 51kg~60kg 61kg~70kg 71kg~80kg 81kg~90kg
一般:156万円以上~370万円未満 

18,000円

18,000円 18,000円 18,000円 18,000円 18,000円
住民税非課税世帯Ⅱ 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円
住民税非課税世帯Ⅰ 年金収入80万円以下など 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円 8,000円

8,000円

上の表に記載した医療費は下記のレケンビによる治療の自己負担額の概算であり、それ以外の医療費は考慮していません。詳細な医療費は、ご加入の保険者にご確認ください。
  1. レケンビの薬剤費(生理食塩水の費用を含む)(月額)
  2. 再診料もしくは外来診療費
  3. 点滴注射
    ※➁③はそれぞれ2回

 

高齢者療養費制度では、レケンビ以外の医療費の合算や、世帯合算、多数回該当などもありますが、その医療費は考慮しておりません。
また、70歳以上の方(3割負担の方を除く)については外来(個人ごと)の上限額が設定されているため、その金額を記載しております。

 

高額療養費制度とは?

医療費の支払いが、年齢や年収に応じた自己負担限度額を超えた場合、超過分の払い戻しを受けることができる制度です。介護費と合算する制度など負担を軽減するさまざまなしくみが設けられています。

 

高額療養費制度を利用する際のポイント
  • 限度額適用認定証を治療前に取得しておくと、窓口での支払いは自己負担限度額までの支払いですみます。
  • 70歳以上で年収約370万円未満、または約1,160万円以上の方は、高齢受給者証と健康保険証の提示で自己負担限度額までの支払いとなりますので、限度額適用認定書の申請手続きが不要になります。
  • マイナンバーカードを健康保険証として使用すると、オンライン資格確認が導入された医療機関では原則として、申請なしに限度額が適用されます。

 

負担をさらに軽減するしくみ

 

世帯合算

世帯合算とは、ご本人の自己負担額と、同じ世帯(同じ医療保険に加入)の方が同じ月に支払った自己負担額を合算して申請できるものです。
お一人では上限額を超えない場合でも、世帯内で合算した合計額が上限額を超えた場合には、超過分が高額療養費として支給されます。
※69歳以下の方の受診については、21,000円以上の自己負担のみ合算されます。

 

多数回該当

直近12ヶ月以内に、上限額に達した月が3回以上ある場合は、4回目から「多数回該当」になり、自己負担限度額がさらに引き下げられます。

 

その他の医療費助成制度

一部の健康保険組合などの独自の給付制度である付加給付や、通院医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度の自立支援医療制度を利用できる場合があります。また1年にかかった医療費が一定額を超えた場合、医療費控除の対象となり、確定申告により還付金として受け取ることができます。

受診までの流れ

 

 

01
他院から紹介

完全予約制のため、現在はかかりつけ医や沖縄県認知症疾患医療センターなどからのご紹介のみ対応しています。

02
外来受診(完全予約制)

問診、診察、治療の説明をします。

03
検査入院(2泊3日)

ずい液検査、頭部MRI、脳血流スペクト、高次脳機能検査(認知症検査)などを予定しています。検査結果がわかるまで、1週間から10日後ほどかかります。

04
外来受診

検査結果の説明をします。

先の検査にて治療適応と判断された方にのみレケンビ®の治療を行います。

05
入院(1泊2日)

初めての点滴は入院し副作用を確認します。

06
外来継続

2回目以降は基本的に2週間毎に外来で点滴をします。

治療は1年6ヶ月続けます。